従業員を雇用したら(社会保険の手続き・その4)
今回は、社会保険のうち「健康保険・厚生年金保険」について見ていきます。
まず、健康保険です。
健康保険については比較的イメージしやすいのではないでしょうか。主に、病気やけがをしたときなどに、病院などの窓口で保険証を提示することにより、医療費の負担を軽くしてくれるものです。保険証があると安心して医療機関にかかることができますね。
健康保険は次のような事業所では加入が義務となります。
@法人
A個人事業で従業員5人以上の法定業種
次に、厚生年金保険ですが、こちらは、高齢になったときや病気やけがで障害を負ってしまったときなどに、一定の給付を受けられるものです。
年金と聞くと、定年後の生活を支えるものというイメージがあるかもしれませんが、若い世代であっても、障害を負ってしまい前のように働けなくなった、という場合などに生活の保障をしてくれます。
厚生年金保険は次のような事業所では加入が義務となります。
@法人
A個人事業で従業員5人以上の法定業種
B船舶(一部)
放課後等デイサービス事業の事業所様においては、運営主体は法人ですので、健康保険・厚生年金保険については加入が必須となります。
また、両保険はセット加入が原則です。健康保険だけ、あるいは厚生年金保険だけ、という加入の仕方はできません。
保険料は、スタッフ個々人の月給額に応じて決められ、その額を労働者と使用者が折半で負担します(実務的には、個々人の毎月の給与からその方の社会保険料の半額を天引きしておき、一方で年金機構に対してスタッフ全員分の保険料総額を会社が納付します)。
保険料の納付期限は翌月末日で、口座振替も可能です。
ただし、一つの放課後等デイサービス事業所様の中でも、スタッフ個々人の働き方などにより、加入する人・しない人に分かれることがあります。
次回は、加入する人は誰か?すなわち「被保険者」について見ていきたいと思います。
【従業員を雇用したら―社会保険の手続き・そのD―】
放課後等デイサービス事業においては、パートタイマーのスタッフを雇い入れることも少なくないかと思います。
例えば、週3回、1日3時間ほど、人手が必要な時に必要な時間だけ働いてもらう、といった場合などです。
「事業所としては社会保険に加入しているけど・・・、はて、勤務時間の短いパートさんも社会保険に加入させないといけないのだろうか?」
そんな疑問を持たれる事業所様も多いでしょう。
まず大前提として、社会保険の適用事業所に使用されている労働者は、国籍、性別、年齢、賃金の額などに関係なく、すべて被保険者になります。
ですので、パートタイマーであっても原則は被保険者ということになりますが、皆様は「4分の3基準」という言葉を聞いたことがありませんか?
実は、パートタイマーで働く方については、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が常時労働者の4分の3以上であれば社会保険の適用対象となる、という基準があります。
逆に言えば、この基準を満たさない働き方をしているパートタイマーについては、社会保険の加入は必要ないのです。
「でも、日本は確か『国民皆保険』の国であるはず。それに、年金は日本国内に住所を有する20歳以上であれば、国籍に関係なく全員加入することになると聞いたことがあるけど・・・」
そうですね。その通りです。
勤務先の社会保険に入らないパートさんは、おそらく配偶者か誰かの「被扶養者」となり、そちらの保険に加入することになるはずです。
パートタイマーのスタッフを雇用する場合は、働き方により社会保険の加入対象となるかならないか別れます。
簡単で構いませんので、社会保険の制度についてきちんと説明した上で、ご本人の希望などをヒアリングし、適正な加入手続きをするようにしてください。